今回はプルームテックから解る『ブランド価値の維持」の難しさを書いてみたいと思います。
プルームテックのキャンペーン販売は危険すぎる?
プルームテックブランドをJT自らの行為で、私は毀損していると昨今の動きを見ていて感じています。それを簡単に知っていただくために、ブランドや価格・価値について少しだけご説明をさせてください。
ブランドとはなにか?
ブランドとは何か?簡単にいうと企業が打ち出した商品が企業の顔になるようなものだと私は解釈しております。
それらを伝達するメディア特性、消費者の経験、意思思想なども加味され、結果として消費者の中で当該財サービスに対して出来上がるイメージ総体。それが現在のブランドの概念と言える。https://ja.wikipedia.org/wiki/ブランド より引用
イメージ・消費者の勝手な思い込み・この商品ならこんなもんだろ?という総体ですね。トヨタのクラウンにはクラウンの。カローラにはカローラのブランドというものがあります。
仮にカローラのブランドが大幅にリニューアルされてクラウンレベルになった時、消費者はいままでの価値観を変えていかなければなりません。そうなると、いままでカローラファンだった人はもしかしたら離れていくかもしれません。
ブランドとは価格の高低だけに留まらず、商品そのものの歴史でもあるのです。歴史・・この言葉は非常に大切ですから覚えておいてください。
価格とは何か?
価格とは、必要なお金を出せばサービスや商品と等価交換できる基準のようなものですね。一般的に高級なものは「高価格」で等価交換が行われ、子供が食べるようなお菓子は「低価格」で等価交換が行われるようにしております。
言ってみれば商品とお金を等価交換するために、消費者のターゲットとニーズを照らし合わせ価格を決定していきます。
あとイメージもあります。例えば本当はとても安価に製作できるのだけど高級そうに見えるから、高価格であったり。その逆も。
逆が世間に知られたときに「コストパフォーマンスが良い」と評価を受けたりもします。
価値とは何か?
では価値とは何か?価格が高いから価値がある。確かにその一面も取り持っているでしょう。しかし子供と大人では欲しい物の価値もまったく違います。
たとえば子供達の間で現在も流行している「カードゲーム」も、おっさんの私にはまったく価値がありません。しかし子供には価値ある商品なわけです。
あんなカードが2,000円?と頭を傾げたくなるようなものでも価値があれば価格が付きます。
客は値下げがないから安心する
では私が現在プルームテックに危惧していることはなにか?と申しますとキャンペーンと云う名の「安易な価格破壊をJT自ら起している」ことに他なりません。
本来客は「価格が下がらないから」安心していつでも買えるわけです。いや消費者目線でみた場合はどんどんと値下げされる方が本当は嬉しい。
しかし株価と同じで、値下げが発生する場合には消費行動は一時的な単発行動に終わる場合がほとんどです。
安易なキャンペーンという名の値下げは危ない
キャンペーンを打って出ているJTは、安易なキャンペーンをしているという概念はないと思います。令和キャンペーンにしてもJT自らは「極まっとうなキャンペーン」だったと感じているはず。
しかし客先目線から見れば、何度も行うキャンペーンは
でもですね、JTもたぶん「赤字覚悟?いやもしかしたら赤字でキャンペーンを打っている」のだと私は認識しております。
でもそれを理解し赤字だったとしても「誰も感謝しない」のが連発キャンペーンの怖さですね。
1度さがったブランド価値は戻り難い
令和キャンペーンは私も意味があったと思います。しかしそれ以降も安易にキャンペーンを打ちすぎですね。こうなるとキャンペーンでしか購入しない!と考える消費者がいても当然です。
これがブランド価値を自ら毀損する怖さです。
本当の意味で、JTは価格を自ら決定したことがないのでしょう。その企業の生い立ちからみれば致し方ないところもあるでしょう。
しかし高価格であれ、低価格であれJT自ら価格を決定したのなら歯を食い縛っても「安易なキャンペーンをしない」戦略もあったと思います。
また同じキャンペーンを打つにしても自社に戻ってきてもらえるような方策があったはずですが、大企業のトップダウン方式があったのでしょうか?
いずれにしても「プルームテックはまたどこかで価格が下がる!」と消費者は感じていますから、1度下がったブランドの回復は難しいと思われます。
JTの体質から見える価格設定に自信がないわけ
ご存知のとおりJTは寡占企業です。
まず販売価格の決定方法を私は知りませんから記述していることは間違っていると思います。でもそのことが本質的な問題ではありません。
今までの価格設定には
- 決まった仕入れ値と会社の運営費を乗せる
- さらに利益を乗せる
- その上に税金を乗せる
大まかにいってこのような販売価格形成をしたのだと思います。間違っていると思いますが、改めてそこは問題ではありません。
寡占企業だから今まで価格は2の次の問題だった
なにが問題だったのか?というと今までは寡占企業でしたから、販売価格は2の次だったわけです。誰もがいきなりやめることができない商品を販売しておりましたし依存性のある商品です。
またタバコは吸えば消えてなくなる商品です。それにライバルは日本国内には不在。そんな企業が販売価格をシビアに捉え、さらに国が決めた価格に自社が自信をもって世にだせていたでしょうか?
私はこの点は断言できます。ないでしょうね!
的な。そりゃそうでしょ。ライバルが国内に不在なわけですからね。海外勢がライバルとはいえブランドが違います。
国産が好きな人。外国産が好きな人。それぞれの銘柄が好きな人。全てがブランド商品だったのです。
価格をさげて商売したことがない
実はいままで価格を下げて商売をしたことが1度もないのがJTなのです。しかし今回は幸か不幸か自社で価格設定ができてしまった。
いままで黙っていても・価格を上げても・だれもが殆ど同じように購入していった。
それは寡占企業のブランドとタバコという、商品だったからですが、価格設定においてJTが本気で心の底から気にしたことは一度もなかったはずです。
(少しはあったと思いますが、街中にある飲食店や商店・中小企業レベルで悩んだ事は皆無だと思います)
プルームテック3機種に価値がないのか?と焦りすぎ
そこにきて安値キャンペーンの連続です。プルームテックがあまり販売状況が芳しくないのか?それとも売れ行きが良いからなのか?は知りません。
しかしデバイスを販売したいがために、せっかく育ててきたブランドイメージを自分でブチ壊しているような対策がキャンペーンの連続だと思うのです。
確かに電子になって世の中は大きく急激に変化してきております。しかし安易な安値販売を、キャンペーンという名の下でこれ以上行うのは意味がないと思います。
プルームテックの価格には、その価値があると判断して販売したわけですが、自ら行う行動によりすでに消費者には「実はそれほどの価値がないのか?」と刷り込みをさせてしまっています。
本当の民間の辛さがわかっていない
民間企業では価格を決定するとき、確かに周りの動向(経済状況)にも左右はされます。とはいっても安値販売は一瞬の最大瞬間風速的には販売台数を伸ばしますが、その後、販売台数は基本的には伸びません。
なぜなら「人は待つ」からです。今までのブランドでは『値下げはしないだろう・・・』と刷り込みができていました。
絶対に販売価格は下がらなかったですし、値上げばかりでしたから「デバイスにおいても値下げはないだろう・・・」という意識が消費者にもあったわけです。
値下げをすることは、社内的にも簡単ではなかったかもしれませんが、今まで味わったことのない「禁断の果実、値下げ」という手を出してはいけない分野に興味がでてしまったのでしょう。
しかしながら値上げも値下げも、簡単に行うことは自殺行為と過去の歴史を振り返ってみても明らかな訳です。
キャンペーン頼みで苦戦した企業達
皆様もご存知とおりマクドナルドは88円バーガーを昔販売しました。ミスタードーナツでも定価販売から100円キャンペーンを実施しました。
ええ、ご存知のとおり爆発的に販売を伸ばせましたがその後は急降下です。
消費者は安くはならないと思っていたから最初は喜ぶ
何度もいいますが、消費者が「安くならない」と勝手にブランドを作り上げていたので突然の安値販売に歓喜したわけです。
しかしそれが通常のレベルになると「はやく値下げしろよ・・・」という気持ちの変化が、消費者サイドに発生してきます。
著しい販売低下を受けた時の経営者達は改善をするために、さらにキャンペーンを打ちます。あとはおわかりのように坂道を転げるように業績が悪化し、回復するには相当に時間が必要でした。
値下げをしない、100円均一にみる安心感
100均はいつでもどこでも100円というワンコインで商品が買えます。陳列棚をみると「コスパが高そうなもの」「なんだこれ?」と思うものもありますが、基本的に一律100円です。
この100均は値下げをしないし、消費者サイドも値下げがあるはずがない!と両者のブランドは一致しておりますので
もし100均がキャンペーンと名をうって販売をするような時がくれば、終焉は近いのだと思えます。なぜならブランドを毀損した行為ですから。
ですから安易な安値販売はこれ以上はしないことが必要です。
プルームテックの販売台数を多くしたいのなら?
ですがデバイスが売れないことには消費されるものがなくなりますので、JTとしては困ったことになります。ここで将来何を見据えてキャンペーンを打つのか?が大切だと思うわけです。
新規顧客の開拓?
デバイス販売台数を増やしランニングで稼ぐ?
プルームテックの無臭を世に広めたい?
たぶん全てが複合的に絡み合い、キャンペーンを行っているはずですが、JTがしたことは結果的にはただの安値販売かもしれません。
もっと自社商品が日の目を見る世界を望むのなら自社製品に限ってのポイント販売が良かったのではないか?と思います。
キャンペーンで価格を下げない方法
ではどんな方法があるでしょうか?考えられる方法の1つにデバイスの定価販売路線は崩さず、ポイントを付随して自社製品に交換できる方法などが挙げられます。
安値販売だけをすればJTにとっても販売価格がさがるだけで、消費者はういたお金でほかの追加購入はほとんどしないはずです。しかしポイントを付随させ自社商品に交換できる方法なら
デバイスも売れる
付属アイテムも売れる(在庫管理費用を圧縮できる)
などの効果があったかもしれません。またカラーバリエーションのアイテムがポイント交換で人気になれば屋外で人目によくついたかもしれません。
しかし私が一貫して言いたいのは、デバイスの価格を簡単に下げることは『将来にわたって損をするだけ』だと言いたいのです。
付属品が付いてくるキャンペーンなどはOK
規制の関係があって出来ないかもしれませんが、一定の時期だけ付属品が付いてくるキャンペーンなども良い方法だと思います。
定価は変更せずとも消費者にはお得感をだせましす、付属品のセットについてどんなものが売れるのかをリサーチも一緒にできるでしょうしね。
ブランドとは別に商品だけでない
ここまで「ブランド=サービスや商品」で話を進めましたが、ブランドとは特別な商品に対してだけ云うものではありません。
会社もブランド
会社という法人においてもブランドというものはあります。あの会社なら任せて安心できる!とか、あの会社は真面目だから大丈夫!とかもブランドによるものです。
そのような意味では
たしかにブランドがあることで会社が動きにくくなることもあります。
今までの古い体質にしがみ付かれながらも、新しいブランドを自分の中で作ろうとしたことは、並大抵の努力だけでは到底不可能です。
冒頭お伝えした「歴史」がここで色々な意味がでてくるわけです。歴史があるから旧態依然とした体質に固執するのも歴史です。歴史がある会社から違う価値観を出そうとするのも、その会社の歴史です。
しかし昨年から、プルームテックプラス・プルームSが販売され3機種体制になってからは、ただの安値販売しかしておりません。
本当にブランドを作る気があったのか?あまりにも歴史を簡単に考えていないか?とも思ってしまうわけです。
個人もブランド それはサラリーマンであっても同じ
商品・サービス・会社だけがブランドではありません。個人もブランドをいつもぶら下げて生活しています。ご家族がおられる人ならば「お父さんやお母さんというブランド」も勝手についてきております。
会社に勤めているときは「○○会社のサラリーマン」というのもブランドです。子供でも「○○学校の生徒」というブランドです。ブランドというものは自分がなりたい・なりたくないに関わらず勝手について回ります。
このように、ブランドとは特別なものではなく本当に身近なものまで全てに浸透しています。
ブランド維持は難しい
長い人生の間、個人にしても会社にしても、商品にしてもブランドを維持するのはとても大変です。物凄く本当に大変です。
ですが自分でブランドを破壊する場合もあれば、他人によってブランドを傷つけられ、立ち上げれない状況もあるかもしれません。
ただ出来る限り自分が築いたブランドは最低限守りたいものですが、守れたかどうか?も最後の最後になってみなとわからない場合もあるわけで・・・難しいという一言だけになってしまいますね・・・
まとめ
まとめというよりも、もっと書きたいことはあるのですがJTにもJTの言い分や考えかた、販売について私が知らない規制も沢山あることでしょう。
ですがデバイス自体は非常に良いものですから、安値販売をしないで欲しいな~とも思うわけです。
消費税10%になった時に現在の定価を見直し、定価設定を安めに変更してみるとか?はキャンペーンよりも遥かに現実的です。
なぜなら消費税で企業は当たり前のように値上げをするでしょう。そこで思い切って定価を値下げすればマスコミを勝手に宣伝してくれますよ。
消費税UPの中、唯一定価販売の値下げに踏み切った企業!として?
なるかな?規制があるからこれも難しいのかな?ただのキャンペーンをするよりも、遥かにコマシャールベースと考えてもコスト対効果の意味は重いでしょうね。
何かのキッカケを掴んで、今後1度決めた価格は安易に変更しないほうが良いと思います。
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